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2018/10/29

[ブログ]andfamily repo vol.2

[and family repo vol.2]

 

取材協力者:養子当事者Bさん

 

今回、第二回の[and family repo]に協力いただいたのは養子当事者のBさん。

自分が養子だと知ったのは18歳の頃。

その事実にどのように向き合い、受け入れたのか、Bさんの半生を振り返りながら

語っていただいた。

 

Bさんが生まれたのは昭和49年。

前年の昭和48年には菊田医師による「赤ちゃんあっせん事件」が起きていた。

法律に違反しながらも100名以上の乳児の命を守ったことへの賛同の声が巻き起こり

社会的養護の下に置かれる子どもが社会的に認知され、要望に応える法的制度が必要だという機運が高まっていた。

 

ーーーーまずは、生い立ちからお話頂けますか。

 

Bさん

「生後3ヶ月で乳児院に入りました。今の母(養親)の元に来たのは2歳頃だったみたいです。養子だということは知らずに暮らしていました。」

 

ーーーー自分が養子だという事は、どうやって知ったんですか。

 

Bさん

「知ったのは18歳の時です。進学先の看護学校に提出するための書類に戸籍謄本が必要になったのですが、母がなかなか用意してくれなかったんです。いつもはなんでも早めに準備してくれる母なので、なんでだろう。と不思議には思っていたのですが。提出期限の前日の夜、両親に呼ばれ戸籍謄本を渡されました。両親もうまく説明が出来ない様子でした。見慣れない言葉の並ぶ戸籍謄本を見ても何が起きているのか理解ができませんでした。」

 

ーーーーその時の気持ちは、もちろん大きなショックだったとは思いますが、どんな想いが心の中を占めていましたか。

 

Bさん

「まずショックだったのは、自分は知らなかった事実を学校の先生や特定の大人は知っていたという事。私を守る為だったとは思いますが、裏切られたような気持ちでした。」

 

ーーーートラブルが起きないように見守ってもらう為に先生方には伝えておくというのはよく聞きますよね。他にはどんな想いがありましたか。

 

Bさん

「自分は誰なのかという気持ち。どうやって産まれてきたのか、なぜ産まれてきたのか。言い表せない孤独感を強く感じました。それで、産んでくれた女性に会いたいと思いました。」

 

ーーーーお会いになられたんですか。

 

Bさん

「養子縁組をした時、相続権などの取り決めと一緒に、会わないという約束もしていたようなのですが、会えました。」

 

ーーーー会って、心に変化はありましたか。

 

Bさん

「特には。ただ、へその緒を持ってきてくれたので持ち帰りました。待ち合わせの場所がすごい人だかりだったのですが、その方を見た瞬間、母(産みの)だってわかったのは不思議な感覚でした。それでも、私の母は育ててくれた母なのでそこに気持ちの変化はありませんでした。」

 

ーーーーその後、進学して、気持ちはどうやって折り合いをつけていたんですか。

 

Bさん

「進学後、勉強したことが明確にあったので、そこに救われました。ショックが紛れるので。折り合いというか、自分の中で納得。許せたのは結婚して、子どもを出産した時でした。養子と知ってから20年経っていました。」

 

ーーーーそうなんですね。出産して許せた。というのは、なぜだか今、私もすごく腑に落ちまし

    た。やはり妊娠、出産、子どもってすごいですね。

 

Bさん

「そうですね。こんな風に痛みに耐えて産んでくれたんだなって。産んでくれてありがとう。手放してくれてありがとう。って。今の母への感謝はもちろん、産んでくれた母に対しても大きな感謝を感じれるようになりました。それまでは何かうまくいかない事があると、’どうせ私なんて’というネガティブな気持ちが、度々湧いてくるんですよね。普段は養子だということを意識しないほどに納得できても、子どもを生むまではやっぱりそういう癒えていない部分が残っていました。以前、熊本の赤ちゃんポストの関係者の方に、私の経験をお話させていただいた事があり、出産を経て全てを許せたという話をした時に、その方が、’負の連鎖を断ち切れましたね’と仰てくださったんです。この言葉が私の中でストンと腑に落ちて。」

 

ーーーー負の連鎖ですか。虐待が繰り返されることとか、養育環境が、その先の人生に大きく影響するとか。そんなことを連想させる言葉ですね。ご自身は18歳で養子だという事実を知らされたわけですが、幼少期からの真実告知をどう思いますか。

 

Bさん

「まず、隠し続けるというのはあり得ないと思います。出自を知る権利もありますし、その事実を隠すという事は生まれてきた事を否定してしまうような事なので。母は、私が結婚する時に話すつもりでいたようです。母なりに子を思って考えてくれていたのだとは思いますが、やはり幼少期から伝える事で、少しずつ理解していけるので衝撃も少ないのかなとも思いますし、何よりも隠されていたとか、裏切られてた。と思わなくて済みますよね。私の場合、知った後に消化するまでに長く時間が必要だったので、その時間が短いほうが良いですよね。」

 

ーーーーなるほど。私自身もとても参考になるご意見ありがとうございます。最後に、話は冒頭に戻ってしまうんですが、生後3ヶ月で入った乳児院ですが、そちらには行かれたりしたんですか。

 

Bさん

「その乳児院は見つからなかったんです。今はもう無くなっているのかもしれません。」

 

ーーーーそうすると、ご両親のもとに来る前の記録や写真は何もないんですか。

 

Bさん

「なにもないですね。」

 

ーーーーそれって、とても辛い事ですよね。

 

Bさん

「そうですね。きっと職員の方に愛情を持って育ててもらっていたと思うのですが、どんな方に抱か れて、どんな風に育ったのか、どんな赤ちゃんだったのか、今となってはどうやっても知る事ができないですから。」

    

ーーーー先ほど、出自を知る権利の話も出ましたが、自分の生い立ちを知る事ができないという事が本人にとって、どれだけ辛い事なのかという事を痛感します。出自を隠すという事はもっての外ですね。お辛いお話もたくさんお話し頂きまして、本当にありがとうございました。

 

 

 

今回、養子ご本人に直接お話を伺う機会を得られました。

私自身、父となった今、今回の取材を通じて、真実告知、出自を知る権利の重要性を改めて感じる事ができましたし、リアルケースとして、そこに温度の残る体験を感じられた貴重な時間でした。

 

負の連鎖を断ち切る

 

今日本の現状として、多くの子どもが、社会の事情、大人の事情によってその’負の連鎖’の中から抜け出せずにいます。

子どもは、その存在自体がポジティブで、ありきたりな言葉ですが本当に’子は宝’’希望’です。

子育てをしていて改めて感じます。

 

子ども達の負の連鎖を断ち切ることは、社会や大人の責任ではないでしょうか。

 &family..

千田真司

2018/09/15

Twitter・ブログ更新

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9/3日

日本財団主催のシンポジウムも無事に終わり、Twitter、ブログ更新しております。

どちらも、本HPから見られますので、ぜひご覧ください。

2018/08/07

9/3 講演のお知らせ

シンポジウム「すべての子どもが愛されて育つために」
~親⼦⽀援から⾥親、特別養⼦縁組など様々な家族のかたちを考える~

 日時:2018年9月3日(月)13:30~16:30場所:よみうり大手町ホール(東京都千代田区大手町1-7-1)

2018年3月に目黒で起きた船戸結愛(ゆあ)ちゃんの虐待死事件は、多くの人の心をゆさぶりました。日本のどこの地域で、どんな親から生まれても、子どもには親、もしくは親に代わる存在に愛されて安全に生活する権利があります。生みの親が子育てに課題を持っている場合はまず家庭を支援することが大切で、それでも改善しない場合には適切なタイミングでの子どもの保護が必要です。また、保護された後、実家庭に戻ることができない、または戻ることがふさわしくない子どもには、里親や特別養子縁組などの制度であたたかい家庭で育つ機会を提供することも同じように重要な課題です。
日本では2016年に児童福祉法が抜本的に改正され、2017年には厚生労働省から新しい社会的養育ビジョンが発表されました。大きな転換期にある児童福祉の流れをあらためて理解するとともに、これから私たちに何ができるのか、シンポジウムを通じて考えていきたいと思います。

 

 

2018/07/23

[新聞]新聞掲載情報

先日、共同通信、日経新聞、読売新聞、三社から特別養子縁組についてインタビューを受けました。

読売新聞はすでに掲載済みです。

共同通信、日経新聞については近日中に掲載されるとの事です。

2018/07/17

[ブログ]andfamily repo vol.1

[and family repo vol.1]

 

取材協力者:NPO法人養子縁組支援協会ストークサポート職員Aさん 

 

 

Aさんとは2年弱前からのお付き合いになる。

これまでたくさんのお話をさせていただいたが、とてもよく笑う方で、その笑顔で周りのの方も明るくしてしまうようなパワフルな方という印象。

 

養親希望者への、Aさんの寄り添い方というのがとても親身で。

私たちがストークサポートに決めた一つの要因は、Aさんといっても過言ではない。

 

団体設立

対談当日、いつもはお互いの中に「緊張」という文字はないが、私も[and family repo]初の対談ということで少しばかりの「緊張感」が新鮮だった。

最初にAさんの現在のお仕事に至る経緯を伺った。

 

以前は会社勤めをしていたAさんだったが、とある事がきっかけで特別養子縁組斡旋団体で働くことを決めた。

その期間は半年くらいだったとのことだが、その後の決断にAさんの本気度がうかがえる。

なんと、福祉大学への入学。

自らの福祉への強い想いを実現させる為、団体を立ち上げることを視野に入れた。

 

ご縁というのは不思議なもので、その大学で一つの出会いがあった。

ストークサポートを立ち上げる為に、不可欠な出会い。

その方が現在のストークサポート代表である。

 

今の、お二人を見ていると、出会った頃のことが想像できる気がする。

子供を救いたい、困り果て悩み、行き場のない不安を抱えた人たちの力になりたいと、そんなお互いの想いを語り合ったのではないだろうか。

 

マッチングという言葉

言葉の持つイメージというものは時に意図しない意味を持たせてしまうものである。

言葉とはとても難しい。

特別養子縁組に興味を寄せた人の中で、おそらく多くの人が「マッチング」という言葉に違和感なり、不透明さを感じるのではないだろうか。

 

以前ストークサポート代表に聞いた話だが、いわゆる「マッチング」の際に

「ある項目について類似点を見つけたりというようなことはしません。極力、第三者の手を加えることの無いようにしています。」

私はこの事を知り、我が子との縁がより特別なものに感じられた事を覚えている。

 

Aさんによると、団体によって多少の違いはあるという事ことだが、「マッチング」の持つイメージとは少し違っているということはわかっていただけただろうか。

 

言葉の難しさという意味でもう一つの話題を。

予期せぬ妊娠、望まぬ妊娠。

この言葉は特別養子縁組に関連してよく目にする言葉だが。

生まれてきた子供にとって、ものすごく残酷な言葉ではないか。

 

では耳障りの良い言葉に変えれば良いのかというと、そう単純な話ではなかった。

Aさん曰く

「確かにあまり使いたくない言葉ではありますよね。」

「ですが、相談をしてくる方達は実際にそのようなキーワードで検索をして、窓口にたどり着くケースが多いんです。」

なるほど。そちらの視点も大切なのだ。

確かに耳障りの良くない言葉だが、その分耳に残るフレーズという意味では強烈なインパクトがある。

今まさに悩んでいる当事者の気持ちを考えると、そうか。

そのキーワードで検索する。しますよね。

 

言葉一つをとってもなかなか、複雑な問題を抱えているんだと実感した瞬間だった。

 

相談9割

そんな入り口から、多くの女性の悩みと日々向き合うAさん。

仕事で多くの時間を費やしているのは「相談」

様々な状況に置かれた、女性たちからのSOSがあるという。

中には非常に危うい状況もあるとか。

緊急性の高いものから、「これはじっくり話を聞いてあげたら解決するかな。」

というものまで。

実際に寄せられる相談件数から委託などに発展するケースは1割程度。

9割は「相談」で終わってしまう。

 

Aさんに伺った。

NPO法人とか福祉活動とはいえ、仕事としては効率が悪すぎませんか?」

Aさん

「相談の電話、メールを打つだけでも本人たちは勇気を振り絞って一歩を踏み出します。そんな方達のお話はしっかり向き合いたいんです。」

「団体によっては相談の時間をある程度決めていたりするのですが、私は長時間話しちゃうんですよね。」

と人間の器の大きさを感じさせる良い笑顔で話してくれた。

 

ルールを決めることは会社として当たり前だと思う。考え方によってはその分、より多くの方の話を聞けるということだったり、ほかの業務に充てるという考え方である。

ただ、Aさんのような考え方が私個人としては好きだし、このような向き合い方が、ストークサポートの会社としての雰囲気を作っているのだろう。

 

想い

そんなAさんの活動の中で大切にしている事を一つ紹介したい。

それは、「養親同士の繋がり」

 

私も同じ立場から、仲間(同じ思いを共有できる相手)の存在は大きいと感じている。

今、自分たちは特別養子縁組という事を公表し、親しい方にはもちろん、病院で会う、先生、看護師さん、立ち寄った飲食店の店員さん、外出先で会ういろんな方にタイミングさえ合えば「特別養子縁組で授かったんです」なんて気軽に答えている。

反応は様々だし、内心までは推し量れないが、有難いことに大抵の方は深刻には受け止めない。

「特別養子縁組が特別視されない社会」のために公表し、andfamilyを立ち上げたが意外と世間の方々の許容する準備はできているような気もする。

 

「パパ似かな?ママ似かな?」

なんて先手を打たれると少し気まずいが、そんな時も思い切って話してしまう。

 

そんな風に、周りにオープンにしている私たちだが、まだ特別養子縁組仲間はいない。

やはり同じ経験をしている方とでないと話せないことは多いし、大人同士の仲間を作ると同時に子供同士の仲間も作ってあげたい。

 

これからの成長の中で同じ悩みを共有していく仲間。

 

そんな仲間を作るためには、「場」が必要で、その「場」の大切さを感じているAさんは「養親の繋がりを持てる場」として「養親会トゥモロー」を運営している。

 

今は法改正の流れもありストークサポートが運営しているが、こちらの会はどなたでも(ストークサポート以外からの縁組でも)入会が可能になっている。

※トゥモローについて詳しく知りたい方はストークサポートHPをご覧ください。

 

Aさんの想いは、このトゥモローをきっかけに各家庭が自由に交流を持てるような会にしたいという事。

現在でも、トゥモローを通して出会った家族がお互いで連絡を取り合うようになり、いくつかの家族で交流会を行なっているという。

 

地道な努力が必要な活動かもしれないが、「私たちにはこういうやり方があっているんです。」

と、Aさん。

 

ギリギリの状況で勇気を出してくれた方からの相談に昼夜を問わず耳を傾け、最善の手段は何か、一緒に悩んでくれる。

委託後も養親同士の繋がりを持てる場を提供し、多くの方の人生同士を繋ぐ。

なんて体力も精神力も必要なお仕事だろうか。

 

今回、こうしてお話を聞かせてもらい最初にお会いした時に私たち夫婦が受けたAさんの印象に間違いはなかったと、改めて感じた。

これからもパワフルな笑顔で多くの方の幸せを繋いでいってくれるのだろう。

 

 &family..

千田真司

 

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