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2019/10/01

[ブログ]おいしい家族

映画

おいしい家族
原作・監督
ふくだももこ
日活の方からトークイベントのオファーがあり、そのご縁で小説、映画を拝読、拝見させて頂きました。
父と母を理想の夫婦と感じている主人公の橙花は結婚5年目にして別居を決めた。
2年前に最愛の母を亡くし、心に空いた穴は何をしても埋まらず、夫婦の距離も次第に遠ざかっていった。
そんな時、母の三回忌の為、故郷の島へと帰郷する。
そこには一つ年下の弟夫婦。
スリランカ女性と結婚し、妻のお腹には子どももいる。弟の人生はイージーモードで、自分の人生はハードモードなんじゃないかと、卑屈になる。
さらに実家には見知らぬ二人。
中年男性と血の繋がらない中年男性の娘。
父はこの二人を養子縁組し(映画では結婚?だったかな)家族になると言い出す。
橙花を悩ますのはそれだけではない。
父が母になるというのだ。
物語には、国際結婚、LGBT、養子縁組、血の繋がらない家族と、様々な社会問題が散りばめられているが、美しい島の描写と、その島で暮らす大らかで朗らかな島民の生活がなんとも穏やかで、生きていく中で大切なものをはっきりと浮かび上がらせている。
最後の場面で父が妻の美しさを自然のようなものと例えている。
その美しさは、何気ない日常にあると。
私はこの一節を読み、家族というものも似ていると感じた。
皆さん、家族というものを強く意識して生活しているだろうか。
家族である事が当たり前すぎて、家族だなぁと感じる瞬間というのは何か特別な場面で改めて思う事なのではないだろうか。
私たち夫婦は、それで良いと思っています。
大切にしないとか、感謝しないということではなく、自然にある美しさのように、そこに自然と家族としていられれば、それで良いのではないか。
特別ではない、特別な存在。
そこに必要なものは、血の繋がりだけではなく、1番に愛が必要なんだと信じています。
ふくだももこ監督は
この島を、自身が思い描くユートピアだと表現しています。
そして「世界に必要なのは自分を大切にし、人にやさしくする事」と伝えている。
先日のトークイベントで、そのお話も少しさせて頂きましたが、監督の心の軸にある言葉なのだと感じました。
「自分を大切にする」わかっていても中々できない事だと思います。
自分を大切にする為には、まずそのベースが必要です。
ありのままの自分を受け入れてくれる場所。
その場所がある事で、人は自分を肯定でき、自分を愛する事が出来るのです。
そして、人に優しく出来るのです。
特別養子縁組という制度に触れ、様々な事を学び始めました。その一つが「愛着」です。
監督はご自身が養子縁組という境遇である事を公表されていますが、自らの境遇をポジティブに捉え、個性として表現に活かしています。
養子縁組という事で不幸だと思ったことはない!
と言い切ってしまう監督の人柄は私の目に、とても魅力的に映りました。
私たち夫婦もそんな風に思ってもらえる親でありたいと思います。
&family..
千田真司

 

 

2019/09/24

9/29日 映画「おいしい家族」上映後トークショー

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9/29日 映画「おいしい家族」上映後トークショーに千田真司が出演いたします。

 

 

2019/09/23

[書籍]ちいさな大きなたからもの 出版決定

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‪「ちいさな大きなたからもの」‬

‪著:瀬奈じゅん・千田真司‬

 

‪http://hojosha.co.jp/menu/728713‬

 

‪12月3日発売‬

 

‪結婚〜不妊治療〜特別養子縁組〜子育て。‬

‪今日までの経験を綴った初エッセイ。‬

 

‪私たちの想いを、是非たくさんの方に読んでいただきたいと出版を決意しました。‬

 

‪宜しくお願い致します。‬

 

2019/09/07

[ブログ]ドキュメンタリー映画 隣る人

ドキュメンタリー映画

「隣る人」
2012年公開のドキュメンタリー映画
8年間かけて取材を重ねた結果、映画の中の風景は、カメラがそこに存在しないかと思うような自然体。
だからこそ垣間見える子どもの不安定で脆く、危うい表情が、観てるものの心に訴えかける。
親ってなんだ。
家族ってなんだ。
子どもが一人の人間として、尊重されるべきであるのに、今の日本の児童福祉は、世界から「社会的なネグレクト」だと揶揄されている。
子どもの虐待死も後を絶たない。
この「隣る人」の中で、職員が子どもを抱きしめるシーンが頻繁に出てくる。
極論、、、。
子どもに愛情を伝える時に、余計な事は何もいらない。ただ抱きしめてあげるだけで良い。
この映画の職員のように。
本当に、そうなんじゃないかと、私は思っている。
repoとしては最短文だけど、色々と内容を書いてしまうのも違うかなと思ったり。
私の言葉からではなく、映画を是非観ていただけたらという想いから、ここまでで終わろうと思います。
ただ、何度かこんな話をしていますが、最後に。
今の日本では、養護施設は無くてはならない施設です。
職員の方々の尋常ではない、愛情、葛藤もこの映画から痛いほど伝わります。
全く批判の意はなく、特別養子縁組で安定的な、より家庭的な環境がこういった子どもたちにも届くと良いなと。
改めて強く感じます。
&family..
千田真司

 

2019/09/07

[ブログ]小さき命のために

小さき命のために 一産婦人科医の罪と栄光の軌跡

出雲井 晶

 

先日、「愛知方式」で知られる矢満田さんと、「こうのとりのゆりかご」を創設した蓮田先生にお会いする機会があり、お二人が成してきた偉業とお二人のお人柄に触れることができ、私が密かに抱いていた望みが成就した。

 

実はもう一人、出来ることならお会いしたいのだが、もうお会いすることの叶わない方がいる。

 

菊田昇さん

 

1973年菊田医師赤ちゃん斡旋事件として世間を巻き込んで問題提起をした菊田昇医師。

 

産婦人科医として人工妊娠中絶手術を行う中で葛藤し、悩んだ末に法を犯して100人以上の赤ちゃんを無報酬で斡旋した菊田医師。

当時、妊娠28週までは人工妊娠中絶手術が認められていたが自身の経験から妊娠7ヶ月の胎児は生きて生まれてくるとして妊娠7ヶ月以降の母親を説得し出産してもらい、養親が生んだように偽りの証明書を作成し、実子として託すのである。

 

特別養子縁組のまだない時代に、生みの親と、その子どもと養親を救う最善の手段として10年の間、法を犯し続けた。

 

73年、「男の子の養親を求む」というチラシを見つけた毎日新聞の記者が菊田医師を取材したことが、きっかけとなり全国的に知られる「赤ちゃん斡旋事件」となった。

が、これも菊田医師の目論見の内であった。

 

現行の養子縁組では子棄て、子殺し、中絶は一向になくならない。(昭和54年度の中絶件数は厚生省の統計で約61万、実数は約200万とも言われていた。)

世間を巻き込んで問題提起をし「完全養子縁組」の制度を実現しなければならないと菊田医師は考えていた。

 

 

菊田医師は産婦人科医になる前、キリスト教徒だった。

産婦人科医になること、それは人工妊娠中絶を行うということだ。その行為を主であるイエス・キリストに見られることに耐えられず、聖書を捨てたという。

このことから、菊田医師が心の奥では中絶手術を受け入れられていなかったことが想像できる。

 

法的には妊娠28週までの中絶手術が認められていたが、妊娠7ヶ月と診断し、中絶手術を行ったある時にまさかの出来事が起きた。

母体から引っ張り出した赤ん坊が泣いたのだ。

菊田医師も初めての経験だったらしく、戸惑い悩んだ末にその子を生まれたままの姿で置き去りにした。

母親は中絶を望んでいる。育てられない。誰にも知られず、堕ろすことが出来ればいいと考えているのだから、その子を助ける術がなかったのだろう。

 

翌朝、その子は亡くなっていた。とても冷えた夜だったらしい。

この経験は後の菊田医師にとって、とてつもなく重い十字架となり、原動力にもなった。

 

そして菊田医師は覚悟を決めた。

 

それから10年余り、100人以上の子どもを法を犯しながら、無報酬で斡旋し続けた。

 

初めて、菊田医師のこの善意の犯罪が毎日新聞の一面で取り上げられた1973年から特別養子法が施行される1988年まで、実に15年の歳月を要した。

 

こうして、ひとりの人間が自らの人生を投げうち世論を巻き込んで長い年月をかけて施行された特別養子法。

 

今私が、我が子を抱いているのも、菊田医師を始めとした多くの先人のお陰なのだと心から感謝している。

 

その後、菊田医師の一連の活動は世界で認められ、国連の国際生命尊重会議(東京大会)で第2回の「世界生命賞」を受賞した(第1回オスロ大会ではマザー・テレサが受賞)。その4か月後の1991年8月癌により死去された。

 

 

当時7歳だった自分が、26年後に、菊田医師の影響を多大に受けた特別養子縁組によって父になるとは、当たり前だが思ってもおらず。

今の自分がこうして振り返る事によって、当時の自分と、想像の中の菊田医師との間に、極々細い、でも確かな縁を感じられるような気がしてきます。

 

そう感じたいだけですが。。。

 

こんな風に、今の自分の活動が、いつ、どのように、誰の人生に影響を与えるのか。

 

1人でも多くの子どもが笑顔になれたらと願っています。

 

 

&family..

千田真司

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