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2019/09/03

[ブログ]andfamily repo vol.7

andfamily repo vol.7
これまで、特別養子縁組斡旋団体職員、養子当事者、児童福祉の専門家に取材をさせて頂き、貴重なお話を伺ってまいりました。
今回は家庭で暮らすことのできない子ども達と
日々愛情を持って関わっている乳児院職員の方に取材させて頂く機会を得ました。
andfamilyの取材を受け入れてくださったCさんは、大学で児童福祉を専攻し、実習で乳児保育所を訪れた。
児童福祉に興味を持っていたCさんは、乳児保育所と同じく、乳児を対象としている乳児院との違いを学びたいと考え、実習先に選び、その後もボランティアとして乳児院の子ども達と関わるようになりました。
大学卒業後、ボランティアとして関わってきた乳児院に就職し、およそ10年間、子ども達一人一人の幸せを願い、多くの子ども達と関わってきた。
まず、児童福祉の基本的な情報を。
児童とは基本的に「満18歳に満たないもの」とされていて、その児童に対して行われる福祉を児童福祉といいます。
従来、特別に支援が必要な児童に対する施策を中心に行われてきましたが、近年はすべての家庭において、児童が健全に育てられること、児童を産み育てやすい社会環境を整えることを主とした施策が中心になってきています。
近年、著しく増加している児童虐待への対応も大きな課題の一つになっています。
「すべての児童は、等しくその生活を保障され、愛護されなければならない」という観点から、健やかな成長を保障されない環境にある児童を各児童福祉施設に入所することによりその回復を図る。
この児童福祉施設の一つが乳児院である。
乳児院とは、虐待、婚姻外出産、親の病気、離婚、死別、子ども自身の障がい、などの理由から一時的、又は継続的に入所させ、保護、養育をする施設で、乳児院に入所した児童はその後、両親や親族に引き取られたり、養子縁組等で養親や里親の元に引き取られる。それが困難な場合は大体が2〜3歳を目処にし、小学校に入学するまでに児童養護施設へ措置変更となる。
かつては孤児院と呼ばれ、その名の通り、戦争孤児や、捨て子などが大半だったという。
現在は2〜3000人が乳児院に入所している。
児童養護施設には3〜40000人が入所しており、日本の社会的養護下にある児童は全てを合計すると45000人とも言われている。
この数字は他の先進国からは「社会的なネグレクト」と言われてしまう要因となっている。
国は社会的養護から家庭的養護へとシフトすべきだとして近年大きな動きを見せている。
そんな背景の中、現場で実際に子どもと、その親と関わってきたCさんに入所中の子どもと親の関係性、関わり方を伺った。
さまざまな理由で乳児院に入所する子どもたち。
まず念頭に置かれるのは、子どもの抱える問題の解決だが、基本的には血縁のある親の元で再び生活を共に出来るよう支援をする。(家族の再統合)
が、親によって面会の頻度はさまざまだという。
週に一回、会いに来てくれる親はまだ良い。
月に一回。それ以下のケースも多いという。
もちろん会いに来たくても来られない事情の方もいるとは思うが。
どんな親でも職員の方は全力で、子どもとの関わりをサポートする。
院で共に過ごす親子の限られた時間。
親との距離感を測れず、戸惑う子も少なくないという。
そんな時、職員は子どもに安心して、親と過ごせるように声かけをしたり、そばについたり、適切な距離感を保って見守る。
面会の間、不安からか、ずっと泣いている子もいるのだとか。
やはり、乳児、幼児であれば、血の繋がりよりも、共に過ごす時間や、抱かれ慣れた安心感が重要なのだと改めて感じるし、愛着形成に重要な時期に離れて暮らすことが、その子どもにとってどれだけの損失か、考えさせられるエピソードである。
定期的な面会を経て、親子の関係性に回復の傾向が見られると、施設内の支援ルームという場所で、一日過ごし、問題がなければ、外出、そして外泊と段階を踏んでいく。
何ヶ月も掛けて、親子の関係性に加え、養育環境は整っているかなどの様々な項目において、安心して親元に戻る事が出来るとの各所の判断が出れば、晴れて退所、引き取りとなる。
親元へと退所していく子。
里親、養子縁組で退所していく子。
養護施設へ措置変更となる子。
院を出て行く理由はさまざまあるが、どんな子にもCさんが想う気持ちは一つ。
「幸せになってね。」
多くの子どもたちとの大切な時期を共に過ごす責任。
成長を見守る事が何より大切で尊く、何よりもやりがいに繋がっているのだと話してくれた。
一番嬉しい瞬間は、子どもたちが初めて名前を呼んでくれた時。ぎゅ〜っと抱きしめてくれた時。愛着関係が形成されてきた事を、体感できた時。
そう話すCさんは
「世の中って不公平ですよね。」
と、里親に引き取られた後、その里親から虐待を受け、再度施設入所しなければならなくなった子どもの話を聞かせてくれた。
全ての子どもたちに幸せになってほしいと心から願い、送り出すが、救えない現実がそこにはある。
乳幼児期、それも、出来る限り早い段階での里親や特別養子縁組による、家庭的養護の必要性を感じているとCさんも話してくれた。
子どもにとって何が一番大切なのか。
今一度、声なき声に耳を傾けなければいけない。
&family..
千田真司