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2019/02/26
[ブログ]シンポジウム熊本慈恵病院からの報告 〜匿名だからこそ預けることができる〜
シンポジウム熊本慈恵病院からの報告
〜匿名だからこそ預けることができる〜
2月9日
中野サンプラザで開催されるシンポジウムに熊本慈恵病院の蓮田太二先生がいらっしゃると知り、この機会を逃す手はないと、参加を即決しました。
この&family..ブログでも「こうのとりのゆりかご」関連書籍を取り上げさせてもらいましたが、蓮田先生のご尽力、ご活動に強く感動と共感を覚えていたものですから、いつかお会いしたい!と思っていたところ、想像以上に早くチャンスが訪れたわけです。
シンポジウムの内容は、蓮田太二先生から、こうのとりのゆりかご11年の歩み。蓮田健先生からは、内密出産の必要性と、現在の課題と解決方法などの話を。
ご本人からゆりかごの成り立ちや、これまでの歩みを直接伺えるだけでも、とても貴重な時間でしたが、何よりご本人にお会いできたことが、最大のプレゼントでした。
「全ては子どもの命を救う為に。」
当時、すでに70歳を過ぎていた蓮田先生が、その純粋な想いだけで、満足な協力も得られず、批判を浴びる中走り出した「こうのとりのゆりかご」
そんな時に蓮田先生が相談した方が愛知方式を確立させた矢満田篤二さんでした。(矢満田さんの著書も&family..ブログにて取り上げさせて頂き、いつかお会いしたいと願っていた方のおひとりでした。)
当日は矢満田さんもいらしていて、貴重なお話をお伺いすることができました。
お二人は慈愛に満ち、お人柄は当然のように魅力的で、、、。
自分としては、こういった方々の努力の結果、私たち夫婦が特別養子縁組を知り、我が子と出逢えたのではないかという感覚があったので、お二人にお会いできた、この感動はなかなか言葉が見つからないのです、すみません。
11年の歩みの中でさまざまなケースに直面され、問題点が浮き彫りにされた事は
なぜ、わが子を棄てるのか「赤ちゃんポスト」10年の真実
「ゆりかごにそっと」
のレビュー記事で書かせていただきましたが、それでも蓮田先生は日本各地に「こうのとりのゆりかご」が設置される事を願っているそうです。
それはやはり、「出自よりも命」という想いがあるからだと思います。
そしてその想いを、蓮田健先生が受け継ぎ、今まさに「内密出産」という高いハードルに挑んでおられます。
ドイツでは2014年5月に内密出産法が制定され、法的にも認められ始まった制度で、事情を抱えた妊婦が、特定の機関にだけ本名を明かし、病院での出産から、出生届まで、一貫して仮名を使う、半匿名の出産制度です。
この「内密出産」の何よりの利点は、母子ともに危険な孤立出産を防ぐだけでなく、ベビーボックスでは担保されなかった「出自を知る権利」が、特定の機関に情報を託す事により、守られるという事。
その子が18歳を過ぎると(ドイツでは16歳)出自を知る為に情報の開示請求ができるのです。
まだ法整備が追いついていない現状だというお話でしたが、現行法でも出来るという検証のもと、熊本慈恵病院で準備が進められています。
「誰かが走り出さないと、物事が進まない」と蓮田健先生か仰っていました。
菊田医師然り、矢満田さん然り、蓮田太二先生然り、蓮田健先生然り。
世の中、環境によって挫折する事は多いかもしれませんが、その中でも、最善の方法を模索し、批判を恐れず突き進む強さを感じます。
昨今の虐待死の報道に心を痛めている方、怒り、憤りを感じている方も多いと思います。
痛ましい事件が起きなければ変われないのか。
蓮田先生方のように、環境の所為にせず自ら行動できる人間でありたいと思います。
会の最後には司会の方がお時間を取ってくださり、妻と一言ずつご挨拶させていただきました。
来場の皆様が、本当に子どもにとって何が最善かを考えている空気が、私たちにも伝わり、参加させて頂けて本当に良かったと思っています。
開催にご尽力された皆様、お疲れ様でした。
そしてありがとうございます。
&family..
千田真司