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2018/07/17
[ブログ]andfamily repo vol.1
[and family repo vol.1]
取材協力者:NPO法人養子縁組支援協会ストークサポート職員Aさん
Aさんとは2年弱前からのお付き合いになる。
これまでたくさんのお話をさせていただいたが、とてもよく笑う方で、その笑顔で周りのの方も明るくしてしまうようなパワフルな方という印象。
養親希望者への、Aさんの寄り添い方というのがとても親身で。
私たちがストークサポートに決めた一つの要因は、Aさんといっても過言ではない。
団体設立
対談当日、いつもはお互いの中に「緊張」という文字はないが、私も[and family repo]初の対談ということで少しばかりの「緊張感」が新鮮だった。
最初にAさんの現在のお仕事に至る経緯を伺った。
以前は会社勤めをしていたAさんだったが、とある事がきっかけで特別養子縁組斡旋団体で働くことを決めた。
その期間は半年くらいだったとのことだが、その後の決断にAさんの本気度がうかがえる。
なんと、福祉大学への入学。
自らの福祉への強い想いを実現させる為、団体を立ち上げることを視野に入れた。
ご縁というのは不思議なもので、その大学で一つの出会いがあった。
ストークサポートを立ち上げる為に、不可欠な出会い。
その方が現在のストークサポート代表である。
今の、お二人を見ていると、出会った頃のことが想像できる気がする。
子供を救いたい、困り果て悩み、行き場のない不安を抱えた人たちの力になりたいと、そんなお互いの想いを語り合ったのではないだろうか。
マッチングという言葉
言葉の持つイメージというものは時に意図しない意味を持たせてしまうものである。
言葉とはとても難しい。
特別養子縁組に興味を寄せた人の中で、おそらく多くの人が「マッチング」という言葉に違和感なり、不透明さを感じるのではないだろうか。
以前ストークサポート代表に聞いた話だが、いわゆる「マッチング」の際に
「ある項目について類似点を見つけたりというようなことはしません。極力、第三者の手を加えることの無いようにしています。」
私はこの事を知り、我が子との縁がより特別なものに感じられた事を覚えている。
Aさんによると、団体によって多少の違いはあるという事ことだが、「マッチング」の持つイメージとは少し違っているということはわかっていただけただろうか。
言葉の難しさという意味でもう一つの話題を。
予期せぬ妊娠、望まぬ妊娠。
この言葉は特別養子縁組に関連してよく目にする言葉だが。
生まれてきた子供にとって、ものすごく残酷な言葉ではないか。
では耳障りの良い言葉に変えれば良いのかというと、そう単純な話ではなかった。
Aさん曰く
「確かにあまり使いたくない言葉ではありますよね。」
「ですが、相談をしてくる方達は実際にそのようなキーワードで検索をして、窓口にたどり着くケースが多いんです。」
なるほど。そちらの視点も大切なのだ。
確かに耳障りの良くない言葉だが、その分耳に残るフレーズという意味では強烈なインパクトがある。
今まさに悩んでいる当事者の気持ちを考えると、そうか。
そのキーワードで検索する。しますよね。
言葉一つをとってもなかなか、複雑な問題を抱えているんだと実感した瞬間だった。
相談9割
そんな入り口から、多くの女性の悩みと日々向き合うAさん。
仕事で多くの時間を費やしているのは「相談」
様々な状況に置かれた、女性たちからのSOSがあるという。
中には非常に危うい状況もあるとか。
緊急性の高いものから、「これはじっくり話を聞いてあげたら解決するかな。」
というものまで。
実際に寄せられる相談件数から委託などに発展するケースは1割程度。
9割は「相談」で終わってしまう。
Aさんに伺った。
「NPO法人とか福祉活動とはいえ、仕事としては効率が悪すぎませんか?」
Aさん
「相談の電話、メールを打つだけでも本人たちは勇気を振り絞って一歩を踏み出します。そんな方達のお話はしっかり向き合いたいんです。」
「団体によっては相談の時間をある程度決めていたりするのですが、私は長時間話しちゃうんですよね。」
と人間の器の大きさを感じさせる良い笑顔で話してくれた。
ルールを決めることは会社として当たり前だと思う。考え方によってはその分、より多くの方の話を聞けるということだったり、ほかの業務に充てるという考え方である。
ただ、Aさんのような考え方が私個人としては好きだし、このような向き合い方が、ストークサポートの会社としての雰囲気を作っているのだろう。
想い
そんなAさんの活動の中で大切にしている事を一つ紹介したい。
それは、「養親同士の繋がり」
私も同じ立場から、仲間(同じ思いを共有できる相手)の存在は大きいと感じている。
今、自分たちは特別養子縁組という事を公表し、親しい方にはもちろん、病院で会う、先生、看護師さん、立ち寄った飲食店の店員さん、外出先で会ういろんな方にタイミングさえ合えば「特別養子縁組で授かったんです」なんて気軽に答えている。
反応は様々だし、内心までは推し量れないが、有難いことに大抵の方は深刻には受け止めない。
「特別養子縁組が特別視されない社会」のために公表し、andfamilyを立ち上げたが意外と世間の方々の許容する準備はできているような気もする。
「パパ似かな?ママ似かな?」
なんて先手を打たれると少し気まずいが、そんな時も思い切って話してしまう。
そんな風に、周りにオープンにしている私たちだが、まだ特別養子縁組仲間はいない。
やはり同じ経験をしている方とでないと話せないことは多いし、大人同士の仲間を作ると同時に子供同士の仲間も作ってあげたい。
これからの成長の中で同じ悩みを共有していく仲間。
そんな仲間を作るためには、「場」が必要で、その「場」の大切さを感じているAさんは「養親の繋がりを持てる場」として「養親会トゥモロー」を運営している。
今は法改正の流れもありストークサポートが運営しているが、こちらの会はどなたでも(ストークサポート以外からの縁組でも)入会が可能になっている。
※トゥモローについて詳しく知りたい方はストークサポートHPをご覧ください。
Aさんの想いは、このトゥモローをきっかけに各家庭が自由に交流を持てるような会にしたいという事。
現在でも、トゥモローを通して出会った家族がお互いで連絡を取り合うようになり、いくつかの家族で交流会を行なっているという。
地道な努力が必要な活動かもしれないが、「私たちにはこういうやり方があっているんです。」
と、Aさん。
ギリギリの状況で勇気を出してくれた方からの相談に昼夜を問わず耳を傾け、最善の手段は何か、一緒に悩んでくれる。
委託後も養親同士の繋がりを持てる場を提供し、多くの方の人生同士を繋ぐ。
なんて体力も精神力も必要なお仕事だろうか。
今回、こうしてお話を聞かせてもらい最初にお会いした時に私たち夫婦が受けたAさんの印象に間違いはなかったと、改めて感じた。
これからもパワフルな笑顔で多くの方の幸せを繋いでいってくれるのだろう。
千田真司